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2022年度第7回宇宙学セミナーを11月25日(金)に開催します。

2022年度第7回宇宙学セミナー(2022.11.25)(金) 15:00-16:30
講師:前⽥ 啓⼀ ⽒(京都大学 理学研究科)
題名:超新星残骸カシオペア座Aに刻まれた爆発機構の痕跡
開催方法:Zoomによるオンライン形式(事前申込制)
申込方法:こちらよりお申込ください。

概要
太陽の約10倍以上の質量を持つ大質量星は、その生涯の最期に中心部の重力崩壊を経て超新星爆発を起こすと考えられている。しかし、中心部の収縮から爆発に転じるメカニズムは完全には解明されておらず、天体物理学上の難問の一つに数えられる。我々は、銀河系内で約350年前に発生した超新星の残骸であるカシオペアA、特にその中に見られる鉄に富んだ構造に着目し、X線観測データによる組成解析からチタンやクロムの存在を明らかにした。さらに、これらの組成比を理論計算結果と比較することでこの構造の起源を考察し、これが重力崩壊によって形成された原子中性子星により駆動された高温バブルの痕跡である可能性が高いと結論づけた。これは超新星爆発機構の標準モデルの観測的検証として大きな意義を持つのみならず、チタンやクロムといった希少元素の起源の解明にもつながり得るものであると考えられる。