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2018年4月24日 宇宙農業(保尊隆享)

宇宙における植物実験の紹介を通じて植物の反応と宇宙農業の実現性について講義する。 宇宙農業の基盤となる宇宙生物学について、 地球上の生命の基本原理は地球環境に適応しており、 これら生命現象は地球の枠を超えた宇宙環境に対して普遍的に適用できるかを探求する学問であることを解説し、 植物が唯一の生産者となる側面からその生育特性と継続的栽培条件の検討について講義を行う。 火星などでの長期宇宙活動は、空気などの資源や食糧を現地調達できなければ実現困難であることを指摘し、 植物は、空気などの資源や食糧の調達源となるのみならず、繊維の生成、治療薬となる物質の合成、 エネルギーの生産、環境の循環維持など、人類にとって多大なメリットを持つことを示す。 一方、植物は動物と異なり固着生活を行っており、環境変化に敏感に反応し柔軟な一生を送ることを解説し、 宇宙で植物を効率的に栽培するにあたり、重力環境に対する応答を理解する必要性を説く。 過去の宇宙での植物実験の結果を概観し、微小重力中では成長促進、肥大抑制が生じる、 細胞壁代謝が変化し伸びやすくなる、有性生殖が抑制される、老化が抑制される、ことなどを説明する。 これらを踏まえて、宇宙農業を実現するためには、 どのような植物種をどのようにして栽培するかを定める方法およびその必要性を示す。