2018年5月22日 人類の宇宙観の変遷(伊藤和行)

人類の宇宙観の変遷について解説する。 17世紀の科学革命により、 ガリレオは自作の望遠鏡を用いて天体観測をし、 月の凹凸の発見、恒星の観察、金星の満ち欠けの観察、太陽黒点の観察を行った。 これらガリレオの観測結果は、太陽中心説を支持するものであり、 これまで考えられていた伝統的な宇宙像の転覆につながったことを解説する。 18世紀には反射望遠鏡の発明などによって望遠鏡の性能が大幅に向上し、 より詳細な宇宙観察が実施され、 ハーシェルによって天の川は星の集団すなわち銀河系(天の川銀河)であって、 太陽系はその中央付近にあると考えられたことを紹介する。 その後19世紀には、星雲の渦巻き構造の発見や、 スペクトル解析による星雲の実体の解明などがなされ、 銀河の存在が知られるようになり、 20世紀に入り、銀河系と宇宙をめぐってシャプレーとカーティスの間で「大論争」が起き、 宇宙は単一の巨大な銀河なのか、銀河系は一つの島宇宙でしかないのか議論されたことを紹介する。 現在では、リーヴィットにより変光星の周期と明るさの関係が示され、 星雲までの距離が求められたことから、銀河系が島宇宙であることが判明し、 また、ハッブルの法則によって膨張宇宙論が検証され、 宇宙観が大きく変わったことを解説する。