2018年6月26日 太陽フレアと宇宙天気予報(柴田一成)

太陽活動が与える影響と宇宙天気予報とは何かを解説する。 太陽は常に爆発が生じている天体であることを衛星によるX線画像や地上望遠鏡のデータを用いて紹介し、 太陽表面に生ずる巨大な磁場構造を正体とする黒点や、 とくにその近傍で発生する太陽フレアについて説明する。 太陽フレアの詳細な爆発メカニズムは1世紀以上未解明のままであり、 また、太陽コロナは100万度もの超高温状態であるが、その理由も天文学最大の謎の一つであり、 現代においても太陽はホットな研究対象であることを紹介する。 一方で、 太陽風はオーロラを発生させるが、その太陽活動は地球環境に様々な被害をもたらすことを指摘する。 太陽フレアは電離層の乱れによる無線通信への障害、人工衛星搭載機器の破損・障害、 宇宙飛行士の放射線被曝などを起こす。 そのため、太陽フレア発生を予報する宇宙天気予報が必要となる。 最大級の太陽フレアの1000倍規模のフレアをスーパーフレアと呼び、 発生頻度は1万年に1回程度と推定されているが、 太陽を実際に1万年観察することは不可能である。 太陽型星1万個を1年間観測すれば、太陽を1万年観測するのと同等のデータが得られ、 実際にケプラー衛星の観測データを用いて解析した結果、 宇宙ではスーパーフレアが頻繁に生じていることが判明している。 これらより、人類が今後宇宙空間に無事に進出できるのかの答えは、 太陽や宇宙の観測にかかっている可能性を指摘し、 人類の宇宙進出における宇宙天気予報の重要性を説く。