2018年7月3日 宇宙システム制御(藤本健治)
宇宙開発に必要なシステム制御について解説する。
システム制御分野は技術横断的分野であり、主な対象はダイナミカルシステムである。
応用範囲も広く、宇宙分野でも多数の採用・応用例があり重要であることを説明する。
例としてアポロ宇宙船を挙げ、アポロ宇宙船の操縦室には操縦桿がないが、
これは事前にプログラムされた全自動操縦となっているためであり、
システム制御技術が用いられていることを紹介する。
システム制御の基本的考え方として、平衡点の安定化が重要であることを述べる。
不安定なものを安定に維持する手法として、フィードバック制御を挙げ、
身近な自動車や航空機にもセンサーを用いたフィードバック制御が採用されていることを紹介する。
太陽と地球のように公転関係にある2つの天体間には、
オイラー点やラグランジュ点と呼ばれる重力的に安定した平衡点軌道が存在することを紹介し、
その利用価値が高いことを述べる。
また、人工衛星などの宇宙機を飛ばすには、正確な軌道計算が必要であり、
スイングバイのような省燃費と高速化を同時に達成する軌道が採用され、
システム制御された装置によって初めてその軌道投入が実現される。
これらを通して、システム制御理論の基本的考え方と宇宙工学分野においてシステム制御が重要であることを講義する。