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2023年度第2回宇宙学セミナー(2023年5月11日)

第2回 2023.5.11 (木) 15:00-16:30
講師: 大屋 瑶子 氏(京都大学 基礎物理学研究所)
題名:「化学診断で見る低質量原始星天体での円盤構造形成
開催方法:Zoomによるオンライン形式
Zoom接続方法:こちらよりご登録・ご参加ください.

概要:
   太陽系の起源に迫るには、星・惑星系形成過程に伴う物理構造進化と化学組成進化の理解が重要である。原始星天体に伴う円盤形成過程において、構造形成と化学進化が互いに関連し合いながら進んでいることが、近年の観測研究により明らかになってきた。このため、ガスの化学組成の変化を「分子マーカー」として活用することで、ガス構造を選択的に捉えることができる。
   構造形成過程において重要な鍵の一つは角運動量である。上記の化学診断の手法と、物理モデルによる解析を合わせることで、円盤形成領域の各物理構造 (落下ガス、回転円盤、アウトフロー) の間での角運動量輸送について評価した。その結果、いくつかの低質量原始星天体において、アウトフロー構造が円盤構造から角運動量を抜き出す役割を果たし得ることを示した。このことは、回転円盤から原始星へのガスの降着を促し、原始星の成長を助けている可能性がある。