京都大学 宇宙学際研究グループ(理学研究科SACRA)

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宇宙倫理学教育プログラム(SEEP)

新着情報

(2025.04.10) 2025受講者募集(学部・大学院コース)の受付が終了しました。
(2025.04.03) 2025年度受講者募集(一般コース)の受付が終了しました。
(2025.03.21) オンライン説明会を実施しました。
(2025.02.28) 2025年度募集要項時間割応募フォームを公開しました。
(2024.04.15) 2024年度受講生募集の受付が終了しました。
(2024.04.01) 2024年度募集要項時間割応募フォームを公開しました。
(2023.04.17) 2023年度「宇宙倫理学入門」一般公開の案内を公開しました。
(2023.04.14) 2023年度選択科目一覧を公開しました。
(2023.04.05) 2023年度受講生募集の受付が終了しました。
(2023.03.16) 2023年度受講応募登録フォームを公開しました。
(2023.03.11) 2023年度必修科目時間割表を公開しました。
(2023.03.10) 2023年度受講生募集要項を公開しました。
(2022.04.08) 2022年度受講生募集の受付が終了しました。
(2022.04.01) 2022年度選択科目一覧を公開しました。
(2022.03.17) 2022年度受講応募登録フォームを公開しました。
(2022.03.15) 2022年度必修科目時間割表を公開しました。
(2022.03.04) 2022年度受講生募集要項を公開しました。
(2022.02.05) 宇宙倫理学教育プログラムの広報動画を公開しました。
(2022.02.05) 本ページを公開しました。

宇宙倫理学教育プログラムとは

人類の宇宙進出が急速に進展しつつある今、それがもたらす様々な影響について倫理的な観点から慎重に検討することの重要性が高まっています。宇宙倫理学は、宇宙進出に伴う諸課題に倫理学の知見を用いて取り組む学問分野です。しかし、宇宙時代の新しい課題は、従来の地球上における倫理学の単なる応用によって解決することはできません。倫理学そのものを地球外へと拡張することも、宇宙倫理学の重要な特徴の1つです。

本プログラムでは、多様な分野の知見を組み合わせながら、より良い宇宙進出のあり方を考えるための知識とスキルを習得し、宇宙時代のための倫理的判断力を養います。文理を問わず、あらゆる分野の受講者を学内外より広く募集します。なお、修了者には修了証が発行されます。

修了要件

本プログラムの受講者は、「宇宙倫理学入門」「倫理学講義*」「宇宙総合学(学部)/宇宙学(大学院)」「宇宙倫理学演習」を受講しつつ、「宇宙倫理学ゼミ」で各自が設定したテーマに沿った研究を進めます。これらすべてを終え、ゼミでの研究成果を文章とプレゼンテーションの形式で発表することで修了となります。

* シラバス上の正式な科目名とは異なります。以下の「必修科目」をご覧ください。

(上記は学内受講者の修了要件となります。一般コースの場合、「宇宙総合学」「倫理学講義」については〈学習課題+レポート提出〉での認定となりますので、授業への参加は必要ありません。「宇宙倫理学入門」「宇宙倫理学演習」「宇宙倫理学ゼミ」は、学内受講者と同様、毎回の現地参加が必要です。)

必修科目

 

宇宙倫理学入門

近年、人類の宇宙進出が急速に進展しつつある。地球外への活動領域拡大は、私たちに様々な恩恵をもたらすと同時に、新たな倫理的課題を突きつけることになるだろう、本講義では、人類の宇宙進出に伴う倫理的諸課題と、それらをめぐる倫理学的議論の概要を学ぶ。

担当教員:清水 雄也(理学研究科)

倫理学講義

本講義の目的は、現代社会における倫理的問題について哲学的に考える仕方を受講者に身につけてもらうことである。本講義では、哲学的に考えるために重要な概念や理論をある程度は紹介しているが、それは知識を身につけるためではなく、倫理的な問題を哲学的に考える仕方を学ぶためである。本講義は『実践・倫理学』を主たるテキストとして、死刑や安楽死といった問題を取り上げて、講義とディスカッションを行う。(シラバス上の科目名は「系共通科目(倫理学A)」)

担当教員:児玉 聡(文学研究科)

宇宙総合学

「宇宙総合学」とは、宇宙に関連するあらゆる学問分野、天文学、宇宙物理学、地球惑星科学などの理学から、宇宙航空工学、宇宙放射線科学、宇宙エネルギー学などの工学、宇宙医学、宇宙農学、 宇宙生物学などの生命科学、さらには宇宙倫理学、宇宙法、宇宙人類学などの文系の学問を総合して宇宙進出にともなう諸問題を解決しようという学問のことを言う。本講義では、京都大学で新しく生まれつつある宇宙総合学入門を講義する。

担当教員:浅井 歩(理学研究科)

宇宙学

宇宙研究は幅広い学問分野に関わる総合学術であり、宇宙開発利用は科学技術、政治、経済、社会の様々なセクターに影響を与える。また、医学・生命科学や法学、倫理学等の人文社会科学も、宇宙という新しいフィールドとつながることで新たな視点を持ちこむことができる。個々の学生の専門分野と宇宙の関わりについて学ぶこと、そして様々な研究科の学生が議論に参加して違いに学び合うことで、そして分野横断的な研究の面白さと困難、方法論を学ぶことが研究科横断型教育としての目的である。

担当教員:浅井 歩、伊勢田 哲治(文学研究科)

宇宙倫理学演習

宇宙倫理学に関する学術文献を取り上げ、正確な読解に基づくプレゼンテーションとディスカッションを展開できる能力を養う。

担当教員:清水 雄也

宇宙倫理学ゼミ

宇宙倫理学について、適切な先行研究サーベイに基づいて研究計画を立て、それに沿った研究を実施し、その成果を文章化するとともに、その内容について口頭発表する能力を養う。

担当教員:清水 雄也

到達目標

知識

      1. 人類の宇宙進出の現状と展望を理解する。
      2. 人類の宇宙進出に伴う倫理的諸課題を理解する。
      3. 宇宙倫理学的課題に関する既存の見解や論証を理解する。
      4. 規範倫理学と応用倫理学の理論や概念について基本的な知識を習得する。
      5. 宇宙倫理学研究に関連する諸分野について幅広い知識を習得する。

スキル

      1. 宇宙倫理学に関する学術文献を正確かつ批判的に読解する能力を身につける。
      2. 宇宙倫理学的課題について建設的なディスカッションを行なう能力を身につける。
      3. 宇宙倫理学的課題の解決に資する研究を実施する能力を身につける。
      4. 宇宙倫理学に関する効果的なプレゼンテーションを行なう能力を身につける。
      5. 宇宙倫理学研究の成果を適切に文章化する能力を身につける。

代表挨拶

2025年4月から宇宙倫理学教育プログラム(SEEP)は4年目に入ります。SEEPは、複数の科目を受講しながら宇宙倫理学を一から集中的に学ぶという世にも珍しい教育プログラムです。もとは文部科学省の委託事業として開発・実施されたものでしたが、委託期間の終了後も京都大学における教育・社会貢献事業として継続しています。宇宙倫理学というのは、宇宙関連活動において生じる様々な社会的・人間的な問題について倫理的な観点から検討する学問です。少し別の言い方をすると、宇宙開発をどう進めていくべきか、宇宙法や宇宙政策をどう構想していくべきか、そういったことを根本的なところから考える学問です。宇宙倫理学の問題はいずれも複数の分野が交差するところで生じるため、その研究は半ば必然的に学際融合的なアプローチを要求します。毎年、多様な背景を持つ受講者が集まり、分野越境的な議論を交わしながら宇宙倫理学を学んできました。

プログラムが始まった2022年4月を振り返ると、当時は、ロシアが人工衛星破壊実験を実施し、さらにウクライナへの軍事侵攻を開始した直後で、スペースXがスターリンクによるインターネット環境をウクライナに提供するという興味深い動きを見せていました。日本国内でも、航空自衛隊の宇宙作戦群が新編されたこともあり、宇宙安全保障やデブリ問題への注目度が高まりつつありました。ビジネス関連で言うと、国連COPUOSが宇宙資源ワーキンググループの設置を決めたなか日本で宇宙資源法が施行され、また、前澤友作氏がISS滞在の宇宙旅行を終えたばかりの頃で、宇宙資源や宇宙旅行といった未来的ビジネスの問題が従来より現実的なものに見え始めていました。宇宙科学の分野では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられ、展開作業を完了したことが話題になっていました。

こうした目まぐるしい状況の進展は、宇宙倫理学教育の重要性を際立たせると同時に、その難しさを予感させるものでもあり、教育内容の構想に悩みながら初回を迎えたことを思い出します。あれから3年、教員・アシスタント・受講者がともに試行錯誤しながら取り組み、SEEPは安定したプログラムへと成熟しつつあります。今後も、これまでの成果を踏まえつつ、新しい試みも取り入れながら、宇宙倫理学的な関心を持つ人たちの学習・研究・交流の場としてのSEEPをさらに発展させていきたいと思います。

清水 雄也(理学研究科SACRA宇宙学際研究グループ・特定助教)

協力教員からのメッセージ

伊勢田 哲治(文学研究科・教授、元SEEP代表)

2023年から2024年にかけてSEEPの代表をつとめさせていただきました。宇宙倫理学という分野は国際的にみてもまだできたばかりの発展途上の領域ですが、宇宙開発が急速に身近なものとなる中で、今から考えておかなくてはならない問題は多くあります。たとえば月に基地を建設するとき、環境への配慮は必要なのでしょうか? 小惑星の資源は誰のものなのでしょうか? スペースコロニーでの生活には地球と同じルールが適用されるのでしょうか? こうした問題は倫理学者だけが考えていればいいわけではありません。宇宙開発が適切に行われるためには、開発に携わる現場の人たちが宇宙開発の倫理的側面について理解している必要があります。また、宇宙開発についての政策決定においては、何よりも市民が宇宙開発に関心をもち、どのように開発が進められていくべきかについて意見を発信していくことが大事です。受講生のみなさんには、このプログラムで様々な問題について考えていく中で、そうした力を身につけていっていただければと思います。

児玉 聡(文学研究科・教授)

「宇宙倫理学」の「倫理学」について説明します。「倫理」と言うと「個人の内面の問題」とか、「人によって相対的なもの」と考えている人もいるかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。宇宙での活動も含め、集団で生活する際には、一定の決まり事(規範)が必要です。例えば「何も悪いことをしていない人を殺すことは不正である」というのは個人の内面だけの問題ではなく、また、人によって相対的であっては困るものです。倫理学は、法や道徳などの規範についてのこうした一般的な意見も含め、規範について批判的に検討し、どうすればよりよい規範を作ることができるかを考える学問です。今後、みなさんが宇宙開発に関する規範を検討する上でも、倫理学の基礎知識を身に付けることが必須だと言えます。

近藤 圭介(法学研究科・准教授)

望ましい宇宙開発を考えるにあたっては、その望ましい進め方だけではなく、それを規律するルール、つまり宇宙法の望ましいあり方もまた考える必要があるでしょう。とりわけ、宇宙開発のアクターが国家から新興の民間の宇宙ベンチャーにまで拡大し、それに伴ってこれまでにはない様々な宇宙関連ビジネスが提供・模索されている昨今の状況に、既存の宇宙法はうまく対応できていないところも見られます。そこで、新しい状況に合わせた望ましい宇宙法を構想する必要があるわけですが、この作業を行うにあたっては様々な視座が必要になります。宇宙倫理学は、そのような視座を、倫理学の姿勢や知見を通じて提供するものです。宇宙開発の、そして宇宙の法制度の望ましい未来を考える皆さん、ぜひ宇宙倫理学を学んでみましょう。

リサーチアシスタント

高口 和也(文学研究科・博士後期課程)

連絡窓口

  本プログラムに関するご質問等については、以下のメールアドレスまでご連絡ください。

  seep.usss.ku [@] gmail.com

  *期限のあることがらに関するお問い合わせは余裕をもってお送りください。返信が数日後になる場合があります。

受講応募関連情報

2025年度

受講応募登録フォーム2025(受付終了)
受講者募集要項2025
必修科目時間割2025
(「宇宙倫理学入門」「宇宙倫理学ゼミ」の初回は4/21の予定です。)
(4限は15:00–16:30、5限は16:45–18:15です。)

2024年度

受講応募登録フォーム2024(受付終了)
受講生募集要項2024
必修科目時間割2024

2023年度

受講応募登録フォーム2023(受付終了)
受講生募集要項2023
必修科目時間割表2023

選択科目一覧2023
「宇宙倫理学入門」一般公開の案内

2022年度

受講応募登録フォーム2022(受付終了)
受講生募集要項2022
必修科目時間割表2022
選択科目一覧2022

 

運営:京都大学大学院理学研究科附属サイエンス連携探索センター(SACRA)宇宙学際研究グループ(グループ長:鶴 剛)

※ 本プログラムは、文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム「倫理学を基盤とした宇宙人材育成プログラムの開発と実践」(2021–2023年度)によって開発されました。

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